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沖縄ぜんざい「しまの屋」店主が語る:南国の涼味、奥深き甘味の物語

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沖縄ぜんざい「しまの屋」店主が語る:南国の涼味、奥深き甘味の物語

はじめに:私にとって「ぜんざい」といえば、昔から「冷たいかき氷」でした

こんにちは!沖縄県名護市で、沖縄ぜんざいとかき氷のお店を営んでおります、「しまの屋」です。

私にとって「ぜんざい」といえば、物心ついた頃から当たり前に冷たいものでした。器いっぱいに盛られたふわふわの氷、その下に隠れた甘いお豆。これが、沖縄で生まれ育った私にとっての、「ぜんざい」の姿でした。
器に盛られた沖縄ぜんざいの写真

だから、初めて沖縄を離れて本土の「ぜんざい」が温かい汁物だと知った時には、本当に驚いたんです!「え、ぜんざいって温かいの!?」と、目を丸くしました。沖縄では、温かいぜんざいは「ホットぜんざい」とわざわざ言うんですよ。
器に盛られた温かい沖縄ぜんざい

思えば、沖縄のぜんざいは、単なるデザートではなく、この島の暑い夏を乗り切るための「生活の知恵」から生まれた形なんだと感じています。冷たいぜんざいを食べると、体がスーッと冷えて、暑さで疲れた体も心も元気を取り戻せるような気がするんです。

この沖縄ぜんざいには、まだまだ知られていない奥深い物語があります。今日は、「しまの屋」の店主として、沖縄出身者ならではの視点も交えながら、その魅力や歴史、そして私たちの想いを、少しご紹介させてください。

沖縄ぜんざいとは?:見た目と素材に隠された独自性

私たちが店で提供している沖縄ぜんざい。その一番の特徴は、何といってもあの涼しげな見た目です。こだわって削ったふわふわの氷が、まるで雪山のようにこんもりと盛られています。 「雪みたい!」とお客様からもよく言っていただける、口の中でふわりと溶ける優しい食感が自慢です。

そして、その雪山の下に隠れているのが、沖縄ぜんざいの主役である「お豆」です。本土のぜんざいでは小豆を使うのが一般的ですが、沖縄ぜんざいでは主に「金時豆」を使います。この金時豆を、沖縄の特産である黒砂糖(黒糖)でじっくりコトコト煮込んで作るんです。黒糖ならではの、深みのある優しい甘さが金時豆にしっかりと染み込んで、なんとも言えない美味しさになります。煮たお豆単体だとしっかりした甘さですが、この甘さと冷たい氷を一緒に食べると、口の中でちょうど良いバランスになって、スプーンが止まらなくなりますよ。

お店によっては、もちもちの白玉や、香ばしい押し麦などをトッピングするところもあります。当店でも白玉を入れてていますが、これがあることで食感のアクセントになって、お腹も心も満たされる一品になるんです。

本土と沖縄、「ぜんざい」は名前だけ同じ「別物」

改めて強調させてください。沖縄のぜんざいと本土のぜんざいは、名前は同じでも本当に「別物」なんです!私自身、初めて本土のぜんざいを見た時は、名前は同じなのにこんなに違うのかと衝撃を受けました。

項目 沖縄ぜんざい 本土ぜんざい
温度 冷たい 温かい
主な豆の種類 金時豆(緑豆や押し麦が使われることも) 小豆
一般的な提供形態 かき氷を乗せた氷菓 汁物(餅や白玉団子入り)

ご覧の通り、温度も、使うお豆も、そしてどんな形で提供されるかも全く違います。私たち沖縄県民は、温かいぜんざいを食べたい時には「ホットぜんざい」とわざわざ言うんですよ。それくらい、「ぜんざい=冷たい氷」が当たり前なんです。

面白いのは、「ぜんざい」とか「おしるこ」といった甘味の呼び方も、日本国内で地域によって色々な違いがあるということ。同じ言葉なのに指しているものが全然違うなんて、日本の食文化って本当に多様で奥深いですよね。特に沖縄は、地理的に離れていることや、戦後の歴史など、独自の道のりを歩んできたので、食文化も本土とは違うユニークな発展を遂げたんだと感じています。

歴史を紐解く:戦後の困難が生んだ、金時豆の甘い奇跡

では、なぜ沖縄のぜんざいは、小豆ではなく金時豆を使うようになったのでしょうか?その歴史を紐解くと、戦後の沖縄の様子が見えてきます。

実は、沖縄ぜんざいに金時豆が使われるようになった背景には、戦後のアメリカ統治時代に、安価なアメリカ産の金時豆が多く入ってきたという歴史的な理由があるんです。本土の小豆が手に入りにくい状況の中で、安く手に入る金時豆が使われるようになりました。アメリカ産の金時豆は、小豆より皮が厚くて煮崩れしにくいという特徴があったそうです。

この金時豆への変化は、単に「手に入りやすいから」というだけでなく、戦後の大変な時代に、人々が身近にあるもので工夫を凝らして新しい美味しいものを作り出した、「物資の制約と創意工夫」の物語だと私は感じています。子供の頃から当たり前に食べてきたこの一杯のぜんざいは、私たちの祖父母の世代が、あの困難な時代を生き抜く中で、身近なもので生み出した知恵の味なんだな、と深く感じ入ります。

「沖縄ぜんざい」という名前は、いつ頃から定着したのかはっきりしないそうですが、1960年代頃には既にこの名前で呼ばれていたようです。「冷たいぜんざいみたいな感じだから、そう呼ぼうか」と、きっと沖縄の人々のおおらかな感覚で自然と広まったのかもしれませんね。この名前の由来が明確でない点も、誰かが意図的に作ったものではなく、人々の間で自然発生的に広まった「庶民の味」らしさを感じさせます。

単なる「スイーツ」じゃない、沖縄の心を癒す「ソウルスイーツ」

私たち沖縄県民にとって、沖縄ぜんざいは単なる冷たいデザートではありません。夏の暑さを乗り切るための「必需品」であり、子供の頃から慣れ親しんだ、心の拠り所のような存在です。私も、子供の頃、部活帰りに友達とぜんざい屋さんに立ち寄ったり、お店でお持ち帰りにして、家族で食卓を囲んでおじいちゃんおばあちゃんと一緒に食べたりと、たくさんの思い出があります。

地域の小さなぜんざい屋さんは、単にぜんざいを食べる場所というだけでなく、地域の人々が集まる大切なコミュニティの場です。放課後には学生たちが笑いながら立ち寄ったり、週末にはご家族連れがテーブルを囲んだり。時には、ひ孫を連れたおばあちゃんが楽しそうにお話ししている姿も見かけます。ぜんざいを囲んで自然と生まれる会話や笑顔は、世代を超えた温かい絆を感じさせてくれます。私たちのお店も、そんな地域の皆さんの憩いの場になれたら、と日々思っています。お客様とのたわいない会話が、私たちの元気の源でもあります。

特に印象的なのは、沖縄ぜんざいが、体調を崩して食欲がない人々の「癒し」になっているという話です。私自身も、風邪をひいた時や夏バテした時、冷たいぜんざいを食べると体がスーッと楽になった経験があります。つわりで何も食べられない妊婦さんが、なぜかぜんざいなら食べられたり。入院中の方が、他のものは受け付けないのに、ぜんざいだけは美味しく食べられたり。そんな話を聞くたびに、沖縄ぜんざいが単なる食べ物ではない、私たちの心と体に寄り添う存在であることを実感します。

沖縄ぜんざいは、「スイーツ」という枠を超えて、人々の暮らしに深く根差し、身体だけでなく心まで癒してくれる、まさに「ソウルスイーツ」なんです。

伝統は形を変えて生き続ける:「あまがし」との関係と私たちの想い

沖縄には、「あまがし」という沖縄ぜんざいと似た伝統的な甘味もあります。元々は旧暦こどもの日に食べられていた、儀礼的な意味合いのあるものだったそうです。昔は、発酵させた酸味のある飲み物だったと聞いていますが、時代と共に形を変え、今は大麦と金時豆などを煮て甘くしたものが一般的になりました。

現代では、「あまがし」と「ぜんざい」の区別が非常に曖昧になってきています。私たちも、子供の頃はよく「あまがし」と「ぜんざい」の違いを意識していませんでしたね。お店によっては、どちらもかき氷を乗せて提供するところも増えてきました。

この「あまがし」と「ぜんざい」の関係を見ていると、食文化って生き物だな、と感じます。時代や、手に入る材料、人々の好みに合わせて、柔軟に形を変えていく。伝統を守ることも大切ですが、新しいものを取り入れて変化していくこともまた、文化が生き続けていくためには必要なことなんだと思います。私たち「しまの屋」も、沖縄ぜんざいの伝統的な美味しさを大切にしながら、新しい美味しさや可能性を探っていきたいと考えています。

沖縄ぜんざいを体験する:自宅で、名店で、そして名護の「しまの屋」で

自宅で挑戦!本格レシピのコツ

お店の味を完全に再現するのは難しいかもしれませんが、ご家庭でも美味しい沖縄ぜんざいは作れます。特に大切なのが、お豆の煮方です。

自家製沖縄ぜんざい:主要材料と手順(5人分目安)
一般的な金時豆とお鍋の場合編

材料(5人分目安)

  • 金時豆の甘煮:
    • 金時豆 150g
    • 水 適量(浸水用、煮込み用)
    • 砂糖 50g
    • 黒砂糖 100g
    • 塩 少々
  • 白玉:
    • 白玉粉 適量
    • 水 適量
  • その他:
    • 削り氷 適量

手順

  1. 金時豆の下準備と煮込み:
    • 金時豆を軽く洗い、豆の約4倍量の水に最低6時間から一晩浸して十分に水を含ませます。 強く洗いすぎると豆が割れることがあるので優しく。
    • 浸した水ごと鍋に入れ中火で熱し、煮立ったら一度水を捨てて「渋きり」を行います。 これで豆のえぐみが取れます。
    • 再度、豆の約3~4倍量の水を加え、アクを丁寧に取り除きながら弱火でじっくりと煮込みます。 煮込み中に水が減ったら適宜足しましょう。
    • 金時豆が指で簡単に潰せるくらい柔らかくなったら、砂糖(グラニュー糖と黒砂糖)と少量の塩を加えます。 ここで一番重要なのが、豆がしっかり柔らかくなってから砂糖を入れること! 豆が硬いうちに砂糖を入れると、それ以上柔らかくなりません。
    • 手でつぶした金時豆
      ホクホクの焼き芋くらい、芯や粉っぽさが無くなるまで。
    • 砂糖と塩は一度に全量ではなく、味見をしながら少しずつ加えて調整すると、好みの甘さにできます。 グラニュー糖を全て黒糖にすると、甘さ控えめでコク深い仕上がりになりますよ。
    • さらに30分ほど煮て、冷まして味をなじませます。
  2. 白玉を作る:
    • ボウルに白玉粉を入れ、水を少しずつ加えながら、耳たぶくらいの柔らかさになるまでこねます。
    • こねた生地を16等分くらいに丸め、中央を少しくぼませると火の通りが均一になります。
    • 鍋に湯を沸かし、白玉を入れて浮き上がってきたらさらに1分ほど茹で、冷水にとり水気を切ります。
  3. 盛り付け:
    • 器に金時豆と煮汁、白玉を入れ、かき氷器で氷をふわふわに削り入れます。
    • 仕上げにお好みで再度シロップをかけると、見た目も美しい本格的な沖縄ぜんざいの完成です。

地元に愛される名店巡り

沖縄県内には、個性豊かな素晴らしいぜんざい屋さんがたくさんあります。名護にも、長年愛されている老舗や、新しいお店など様々です。私たちも、他のお店から刺激を受けたり、学ばせていただいたりしています。

例えば、名護市の「ひがし食堂」さんは、ふわふわな氷が有名で、ラクトアイスにもなっているほど地元に根付いています。本部町の「新垣ぜんざい屋」さんは、薪窯でじっくり炊き上げたお豆が特徴で、昔ながらの美味しさを守り続けています。当店「しまの屋」もたくさんの人に知っていただき、地元の方にはもちろん、観光の方が連泊期間中、毎日来ていただいたり、沖縄旅行の度に訪れてくれるお客様も増えてきました。

どのお店にもそれぞれの良さがあり、それが沖縄ぜんざいの文化を豊かにしているのだと感じています。もし沖縄を訪れる機会があれば、ぜひ色々なぜんざい屋さんを巡って、食べ比べてみてくださいね。

進化する沖縄ぜんざい:伝統と革新のハーモニー

沖縄ぜんざいは、伝統の味を守りつつも、常に新しい挑戦を続けています。その一つが、沖縄の豊かな自然が育んだ旬の南国フルーツを使った「進化系かき氷」の登場です。マンゴーやパッションフルーツなど、色鮮やかなフルーツをふんだんに使ったかき氷は、伝統的な金時豆に氷をのせた素朴なぜんざいとはまた違う、沖縄らしい美味しさを楽しめます。恩納村の道の駅にある「琉冰」、名護市の「天の群星」などが有名ですね。

また、沖縄ぜんざいはもっと手軽に楽しめるようになっています。スーパーやコンビニで、缶詰でも買える沖縄ぜんざいは、家庭での日常的なデザートとして、また沖縄土産としても人気を集めています。

おわりに:沖縄ぜんざい「しまの屋」から皆さまへ

沖縄ぜんざいは、この島の気候と歴史、そして人々の温かさの中で育まれた、特別な甘味です。単なる冷たいデザートではなく、地域を繋ぎ、心を癒す「ソウルスイーツ」。伝統を守りつつ、新しい形に進化し続けている「生きた文化」でもあります。

私たち「しまの屋」は、そんな沖縄ぜんざいの魅力を、もっと多くの方に知っていただきたいという想いで、ここ名護市で小さなお店を始めました。沖縄で生まれ育ち、このぜんざい文化の中で育ってきた者として、この素晴らしい文化を大切にし、次の世代に繋げていきたい、そして観光で訪れる方にも、本当の沖縄ぜんざいを体験してほしい、という強い想いがあります。

お店を始めるにあたって、私たちが特に大切にしているのは、「沖縄ぜんざいを通して、地元の知られざる素晴らしい品を紹介したい」という想いです。沖縄には、美味しい金時豆や黒糖はもちろん、美味しい紅芋や、素晴らしいこだわりを持って作られているコーヒーなど、まだまだ知られていない魅力的な品がたくさんあります。

例えば、当店の人気メニューの一つ「紅芋ミルクぜんざい」は、沖縄産の紅芋をたっぷり使い、食べ始めはまるで紅芋アイス、食べ進めて下のぜんざい部分と混ざり合うと、マリアージュを楽しめます。あの鮮やかな色と自然な甘みは、沖縄の大地が育んだ宝物です。また、コーヒーぜんざいでは、地元のFLAP COFFEEさんのこだわりの豆を使わせていただいています。地元のプロフェッショナルとコラボすることで、新しい美味しさが生まれると感じています。

私たちは、こうして地元の農産物や、地域で頑張っているお店の品を、沖縄ぜんざいという形で皆さまにお届けしたいと考えています。お客様に「この紅芋美味しいね」「このコーヒー豆、どこの?」と興味を持っていただけたら、それが何よりの喜びです。一杯のぜんざいが、皆さまと沖縄の素晴らしい品々との出会いのきっかけになれば、こんなに嬉しいことはありません。

「しまの屋」は、名護の路地裏にある、小さなお店です。観光の途中や、地元のお散歩のついでに、ふらっと立ち寄って、ゆっくりと沖縄の時間を感じていただけたら嬉しいです。ふわふわの氷と、丁寧に煮込んだお豆、そして地元の恵みが詰まった一杯をご用意してお待ちしています。

ぜひ一度、名護のお店に遊びに来てくださいね。

沖縄ぜんざい「しまの屋」公式サイト・SNSリンク一覧

「しまの屋」への道のりを

ステップに分けてご案内します!

 

~ ステップ1 ~

「名護市営市場※1」を検索し駐車

当店利用のお客様は
店から徒歩1分
「名護市営市場駐車場」
を無料利用できますので
先に、駐車をするとスムーズです。

車のナビをご利用の方は下記住所を入力してください。

※1.名護市営市場: 名護市城1-4-11
城は「ぐすく」と読みます。

 

満車の場合は近隣駐車場の
ご利用をお願いします。

↓タップしてください↓

近隣駐車場のご案内▶︎

 

 

~ ステップ2 ~

 駐車場から「しまの屋※2」
  もしくは当店住所を
  マップアプリに入力し
  徒歩ルートを検索。

 

※2.しまの屋住所 : 名護市城1-3-10
城は「ぐすく」と読みます。

 

駐車場に係員がいない場合
そのままご来店下さい。
お帰りの際、
係員に声をかけられなければ、
そのまま車を出して大丈夫です。
声をかけられた場合は
『しまの屋に行きました』とお伝え下さい。

以上が1番スムーズなご来店方法です。
市場駐車場が満車の場合は、申し訳ございませんが近隣パーキングをご利用ください。

近隣駐車場のご案内▶︎

皆様のご来店を

心よりお待ちしております🍧

この記事を書いた人

中嶋 政則

沖縄県北部、名護街路地裏で沖縄ぜんざい店を運営

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